相続税の申告実務において度々問題になることとして相続直前引出があります。
直前引出は相続税計算上、手許現金として加算します。
では、どこまでが直前なのか。1か月前?半年?1年?様々な考えがあると思います。
一般的には被相続人の死亡直前の状況により、資産の取得や債務の返済、消費活動の事実から総合的な判断することになります。
採決の事例を確認してみると、死亡前に一般的な感覚とはかけ離れた金額の引出しがあり、これを手許現金として計上していない場合に問題となっています。
税務調査においては直前引出は必ずチェックされる項目ですが調査対応のポイントとしては手許現金としてないこと(使った事実)を証明する必要があります。
例えば
・高額療養費
・高額物品・サービスの購入
・他の者への貸付
・寄付 など
また、近年では被相続人の高齢化に伴い、被相続人の口座管理を相続人が行うことが多くなっております。
この際に被相続人の口座から相続人が多額の資金を引き出して自身の生活費に充当したり、贈与を行っていたりしている場合もあります。
このような場合には委任の範囲を超えているとして不当利益が成立した場合、被相続人は相続人に対し不当利得返還請求権が生じることとなり、被相続人の財産として課税の対象となる場合があるため注意が必要です。