昨日は、越谷支部及び春日部支部合同の研修会に参加して参りました。
研修会では、資産税の世界では知らない人はいない笹岡先生の講義。
内容としては貸建の賃貸割合の読み方及び更地でも借地権がある場合について。
どちらの内容も非常に勉強になりました。
資産税に携わる人間として、どちらも避けては通れないテーマです。
借地権については、少しマニアックな話で私的には非常に楽しかったのですが資産税案件を手掛けない先生にとっては、出てこないでしょう?
といった感じの特殊な内容だったかもしれません。
そこで、今回は貸建の賃貸割合についてです。
この問題は非常に一般的ですが、非常に悩まい問題です。
【貸建の価額】
自用地価額-自用地価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合
そして、この賃貸割合とは、
(算式2)
つまりは、空室分は評価減とならないわけです。
しかし、タックスアンサーNO4614によれば
偶然、空室になっている場合には賃貸されている部分に含めてよいとされています。そして、、偶然空室として認められるには次のような事実関係から判断するとされています。
(1) 各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものであること。
(2) 賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、空室の期間中、他の用途に供されていないこと。
(3) 空室の期間が、課税時期の前後の例えば1か月程度であるなど、一時的な期間であること。
(4) 課税時期後の賃貸が一時的なものではないこと。
ここで、実務上、悩むことは、偶然とは一体どのくらいの期間空室である場合か?
ということです。
1カ月なら、記載があるからOKです。でも2か月ならどうでしょうか?
1年はさすがにダメでしょうか? 2年は論外?
これは本当に悩みます。
判断基準である1カ月は、「例えば」とあるように例示と考えられています。
だから、実務上は総合的判断により賃貸割合を計算している場合が多いと思います。
しかし、最近ではいくつかの注目すべき裁決事例や判例が出てきているようです。
事例の流れとしては、総合的判断から形式的判断になっているようです。
つまりは、厳密に1月で区切ってくる裁決・判決です。
この流れは果たして、特殊な事案であるかどうかは別として十分研究が必要な問題です。
日本では、少子高齢化が進み、とっくに人口減少が進んでおり、世帯数もピークを過ぎているにも関わらず、相続税対策と称し、あちらこちらでアパート建築が行われております。人口減少・世帯数の減少に対し、供給される住宅数は増えているため、ますます空室率が高まるでしょう。
相続対策として、建てたアパート敷地の評価減は、賃貸割合の解釈によってはその効果を半減させる結果になりかねません。
今後、空室率が上がれば上がるほど、上記の賃貸割合の解釈は重要になりそうです。