不動産賃貸業・投資の税務

民法改正による賃貸契約書改定の必要性

約120年ぶりに消費者契約に関する改正民法が5月26日に成立し、アパート、マンションの賃貸経営に関しても影響が生じることになります。

民法改正による影響点は大きく3つです。

  1. 個人保証の極度額設定
  2. 敷金の返済義務
  3. 設備等故障時の家賃減額

個人保証の極度額設定


たとえば、賃貸契約時に個人が連帯保証人になるケース。

従来であれば、家賃の未払いや入居者過失による部屋の損傷などの修繕する費用等について

連帯保証人は賃借人と同様の義務を負うものと考えられており、極度額が設けられてきませんでした。しかし、改正により、個人が連帯保証人になる場合には極度額を設ける必要があり、

契約書にも限度額を記載する必要が生じます。更にこの規定は強行規定となっているため当事者間で別の合意がされた場合でも、その合意は無効になってしまいます。

そのため、今後は個人保証が敬遠さて、家賃債務保証会社の利用が増えるのではないかと見込まれているようです。

敷金の返還義務


退去時の原状回復トラブルを抑制する目的で、敷金の定義付けと原状回復義務、賃貸借契約終了後の敷金返還義務についても明文化されます。

民法改正前もガイドラインが存在し、このガイドランに沿った運営がされていたため

そこまで大きく変更するといった印象はありませんが、明文化されることにより

賃借人の敷金に対する権利意識はより一層強くなるのではないでしょうか。

ただし、この規定は任意規定であるため、特約の締結が可能です。

設備等故障時の家賃減額


賃貸物件において経年により、備え付けのエアコンや水回りなどの整備等が使用できなくなった場合には、入居者からの賃料減額請求がなされなくとも、当然に賃料が減額されるといった規程が追加されます。しかし、この規定も任意規定であるため、特約の締結が可能です。

上記3つの改正は2020年を目途に施行されるため、契約書改定はそれまでに検討しておく必要がでてきそうです。

(参考:全国賃貸住宅新聞)

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