相続税負担を圧縮する方法としては、相続発生日前に対策を行っておくことは最も重要です。
しかし、相続が発生したあとも重要な判断を行う必要があります。
二次相続を見越した一次相続の分割や相続税申告自体をどう行っていくかです。
特に相続税が課される方の多くは不動産を保有しているケースが多いため、自ずと土地評価が重要になってきます。
その中で、実務において土地評価は奥が深く、評価減が取れるにも関わらず、見逃しているケースが多くあります。
無道路地とは?
ある程度相続税に詳しい方であれば、「無道路地」というものがあることはご存知だと思います。しかし、この言葉を正確に理解せずに相続税申告が行われているケースが多くあります。
おそらく、「無道路地」の理解は「道路に接していない土地」と理解されている方がほとんどではないでしょうか?
しかし、無道路地をしっかり理解する場合にはもう少し深い理解が必要となってきます。
無道路地と接道義務
「無道路地」については財産評価基本通達20-3に以下のように定義付けされています。
(無道路地の評価 評基通20-3)
無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき 不整形地の評価又は前項の定めによって計算した価額からその価額の100分の40の範囲内において相当と認める金額を控除した価額によって評価する。この場合において、100分の40の範囲内において相当と認める金額は、無道路地について建築基準法(昭和25年法律第201号)その他の法令において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件(以下「接道義務」という。)に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額(路線価に地積を乗じた価額)とする。(注)1 無道路地とは、道路に接しない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む。)をいう。ここで重要なのはカッコ書きの「接道義務を満たさない土地を含む」ということです。接道義務とは都市計画区域内及び準都市計画区域内では建築基準法上の道路に2メートル以上接する必要があるといったものです。そのため、無道路地の評価を行う際、まず、現地確認を行い、接道部分を確認します。そして、接している道路が建築基準法上の道路に該当するか否かを確認する必要があるわけです。ただし、2メートル未満であった場合にも建築基準法43条1項ただし書きのような例外規定に該当する場合には建築可能となるため、無道路地の評価とはならないため、ここも併せて確認を行う必要が生じます。
通常評価との比較
通常評価に比べ、無道路地の評価は大きく評価額が下がります。
ただし、評基通20-3に記載されているように40%を限度として評価減となるため、実際には評基通上の評価よりも実勢価格のほうが低い場合も生じてきます。
そのような場合には鑑定評価を取り、相続税申告を行うことも一案となります。