相続税の基礎控除が大幅に縮小されて以来、様々な業界が相続税対策のためにセミナーやら相談会等を開催しています。
私もセミナー講師や相続相談会の担当者として呼んで頂くことも多いですが、意外にも税金対策の必要性を感じる方は少ないなぁと感じています。
相続税対策を行う前にわかっておくべきこと
最近、相続相談を受けていて一番に思うことは、「相続税負担が非常に重いから対策を!!と誇張した広告」が人の心理に与える影響の強さです。
広告の影響により、多くの相談者の方が、自分に相続が発生したら、相続税で全部財産がなくなってしまうのではないか?ぐらいの危機感をもっていたります。
その危機感から、相続税対策を自分なりに考え、意見を聞きにいらっしゃいます。
不動産を購入したり、孫を養子にしたり、裏でお金を渡してみたり、実に様々な対策を考えています。(時には思いつきでやってしまっていたりします・・・・。)
しかし、私は相談者の多くが大切なことをわかっていないと考えています。
その大切なこととは、
- 負担すべき相続税は一体いくらか?
- 相続で一番大切にしたいことは何か?
という基本的なことです。
本当に大切なことを今一度考えてみよう
私が相続税相談会でいつもお話しすることは大きく2つです。
- ご自身に相続が発生した際に、相続人が負担すべき相続税の額は分かっていますか?
- ご自身に相続が発生した際に一番重要にしたいことは何ですか?
上記2つは必ず聞きます。
そもそも、相続税の額が分からなければ、相続税の対策をしても意味がないですよね?
相続税が例えば5百万程度だった場合。
これが多いが少ないかは人それぞれだとは思いますが、無理をして対策を行うべきかどうか・・・・。
例えば、その5百万円を半分にするために、物件を建て借金を負うことは得策とはいえないのでないでしょうか?(どこかの不動産屋さんに怒られそうですが(笑))
また、孫を養子にして税額が半分になっても、兄弟間が揉めてしまい、弁護士にお金を支払うようなケースも出てきたります。
一番大切なことが税金を少なくすることであれば大いにやって頂きますが、ご自身が最も重要視することは違うケースが圧倒的に多いものです。
このような話を相談者の方にするとほとんどがの方が我に返るようです。
多くの場合、税理士の私がいうのも変なのですが、相続税対策よりも争続対策(争う対策)のほうが優先順位が高いはずなのです。
相続税対策が必要なケース
相続税対策は一般的には優先順位が低いはずですが、
しかし、これは「一般的な相続」の場合です。
場合によっては相続税対策をしっかり検討すべき場合も存在します。
例えば、資産家や事業を行っているような家系であれば、莫大な相続税に対し、しっかり対策を行い、相続税の負担を軽減させ、事業の承継を行っていく必要があります。
そのような場合には、相続税対策と併せて争続対策も同時に検討していくことが重要となります。
まとめ
- 自分に相続が発生したときに大切なことの優先順位を今一度考えてみよう。
- 相続税が一体いくらぐらいかかるか試算してみよう。金額によっては無理な対策は不必要であると考えよう。