令和5年10月1日より消費税のインボイス制度が開始されます。
業界によっては、着々と準備が進んでおり、よく話題に上がるようになってきているようです。
しかし、不動産投資を行っている方は保有している物件の多くが居住用物件であることからも、あまり気にしていない方が多いように感じます。
ただ、人によっては気をつけておく必要があります。以下ではお客様との打ち合わせで出たヒアリハット事例をご紹介します。
インボイス登録に関するヒアリハット事例
相談者:Aさん
保有物件:居住用アパート3棟(築年数5年~20年)駐車場6台
来年の10月から消費税のインボイス制度が開始されますが
私の場合、今までは課税売上が1000万円未満であったため免税事業者でした。
インボイスが始まってもこのままで良いのでしょうか?
居住用物件については消費税法上は非課税売上のためインボイス制度の登録をしてもいずれにせよ消費税の対象になりません。
そうですね。
ただ、駐車場のほうは消費税の負担を賃借人へお願いしています。
6台を貸していますが、4台は法人、2台は事業者ではない個人に貸しています。
インボイス制度が開始すると法人からは登録番号の通知をお願いされそうなので、消費税の負担も大したことがないためインボイスの登録を行おうと考えています。
なるほど。
Aさん、インボイス制度についてよく勉強されていますね。
確かに駐車場については消費税をのせて請求しているので賃貸人から番号の通知依頼がありそうですね。
今まで消費税をのせていたのでインボイスの登録番号の発行が出来ないとは言いにくいですからインボイスの登録申請を行っておく必要がありそうですね。
ところで、Aさんが保有している物件のうち3年ほど前に購入した物件の入居率があまりよくないようですが何か原因があるのでしょうか?
そうなんです。
実は購入時のリサーチ不足もありパフォーマンスがいまいちなんです。
物件の購入価格も大きいため、短期譲渡の対象から外れる2年後を目途に処分を検討しています。
ん~。
購入時は稼いでくれそうな物件でしたが、購入した物件全部が思うようなパフォーマンスを出すことって難しいですね・・・・。
・・・・。ん?
・・・・。2年後?
ちょっとまってください・・・。
先ほど、登録しようと考えていたインボイス制度はもう一度考える必要があるかもしれません。
今の話ですと消費税の課税事業者となってから物件を売るということになりますので物件の譲渡代金のうち建物に対応する分の消費税は納税の対象となってしまいますよね。
・・・・。
処分を考えている物件は比較的築年数が浅いため、建物価格が上がりそうです。
建物の譲渡にかかる消費税によってはインボイスの登録事業者の申請時期を検討する必要があるかも知れませんね・・・。
そうですね。
建物の譲渡価格が3000万円とすると300万円の消費税ですから、簡易課税を選択していても納税額は120万円となり、かなりの出費です。
この件をどうするか決めるまでインボイスの登録事業者申請はペンディングということでお願いします。
わかりました。
でも、事前に物件譲渡の話を聞いておいてよかったです。
また、進展があったら教えてください。