1月に独立して8年目になりました。
正月休みに過去の記録を見直しいたら、過去7年間で302件のお問合せを頂いており、相談会や金融機関からの質問なども含めると400件超となり、稼働日から考えてみると1週間に1.5人ペースで新たな方のご相談に対応してきたことになります。
先日、久しぶりに「やばい決算書」を拝見し、忘れられないような「やばい決算書」をふと思いだしました。
そこで今回の記事は、税理士として独立後7年間で、私が目にした「やばい決算書」5選をご紹介し、その影響について検討します
私が目にした「やばい決算書」5選
雑費の額が500万円の会社
会社の売上は2千万。
それに対して雑費が500万。
税務調査の立ち会いなどで個人の決算書ではお目にかかりますが、
法人の決算書ではなかなかお目にかかりません。
そもそも売上に対して25%も占める経費が雑費ということがあろうはずなし・・・。
決算書に添付されているはずの内訳書が・・・
税務署に申告書を提出する際、決算書と一緒に内訳書を添付します。
当然、決算書に関する内訳書なので決算書の数字を説明するものです。
しかし、数字が合わない箇所が多々あり、まともに内訳書が作られていないため内容が分からない勘定科目が多く、修正が困難。
会計事務所に聞いても昔の話で覚えていないとの返答・・・・。
じゃ、誰がわかるんだよ・・・(-_-;)
存在しない資産がいっぱいある決算書
昔使っていた資産が除却処理されず残っていたんでしょ?
・・・・・・・。
いいえ違います。なぜか身に覚えが知らない資産がいくつも計上されていたんです。
会計事務所に確認をしてみても・・・・・?
担当者がやめていて分からない・・・?
この資産は一体どこから来たものでしょうか??
資本金がない決算書
資本金がない。0円ではなく決算書に項目がないんです。
個人ではないです・・・・。
毎月、税理士本人がきていたらしいんですが・・・・。
思わず毎月来なくていいから決算書をまともに作れ!!ってツッコミを入れたくなりました・・・。
マイナス勘定がいっぱい
現金、預金がマイナス・・・。
そんなことってあり得ないのはだれが見てもわかるはず。
その他勘定科目のうちマイナス勘定がいくかある状態・・・・
そんな決算書ってありえない。
絶対間違っているのが一目でわかりますよね?
もう・・・頼みますよ(-_-;)
「やばい決算書」を作成されてしまう影響について考える
衝撃的なのが、上記でご紹介したすべての「やばい決算書」は税理士事務所が作成したものであるということです。
税理士との相性に問題があるときや融資についての相談にいらした際に発覚したものが大半です。
当然、上記にあげたような決算書をもって金融機関や新規取引先にいってもまず相手にされません・・・。
例えば、弊社がお付き合いしている信金さんと以下のような世間話をします。
新規取引先から決算書を預かったのですが、決算書に関する内訳書があまりにも少なくて内容が分からなかったんですよ。融資の申し込みにいらしたのですが借入金の明細すらのっていませんし、決算書もどうしたらこんな感じになるんだろうという不明点もあり正直困りました。
社長さんに聞いても税理士に任せていて詳しい内容は不明だといっていました。
こんなケースだと詳しく内容を知る方法はあるんでしょうか?
ん~・・・。
それは困りましたね。
不明点については作成した税理士さんに聞いてみるしかないですが、
Kさんがおっしゃているような不明点は通常では考えられないことですからね。
社長のほうから顧問税理士へ連絡をとって頂いたのですが、職員に任せていて内容については細かいところは分からないといわれてしまって・・・・。
支店長からもこんないい加減な会社には融資出来るわけないといわれてしまって・・・。
でも、税理士さんの手前、決算書がメチャクチャとはいえず、検討した結果融資は難しいとお話ししたんです。
本当は社長が決算書の重要性をしっかり理解してくれていれば、何とか頑張るつもりだったんですが・・・・。
私もそのような決算書をたまに見ます。
本来、決算書作成に携わる税理士は、その決算書が今後その顧問先にどのような影響をもたらすのか考えて作成するべきだし、その責任があることを自覚すべきだと思います。
金融機関としては過去3年間は決算書を確認します。
決算書は年間1回しか作成することが出来ず、その決算書が3年間は影響することを理解していれば、いい加減な決算書なんて作れないはずなんですが・・・・。
本当におっしゃる通りですよ。
ほとんどの税理士はしっかりした仕事をしているはずですが、中には従業員にすべてを任せて内容を全く確認しない税理士もいるようですから、最低でも年に一度は代表の税理士と面談して決算書について打ち合わせをしておいたほうがよいでしょう。
そうすれば「ヤバい決算書」が作られてしまう可能性を下げることが出来ます。
金融機関や取引先に決算書を出して、初めて問題に気が付いて相談に来られる方に決算書の重要性をお話しすると、そんな重要なことだとは会計事務所から説明がなかったとおっしゃる経営者も少なくありません。
そのようにならない為にも経営者自身がしっかりチェックすることが重要です。
融資の8割は決算書で決まるといっても過言ではありませんので、経営者はまずそのことをしっかり認識しなければいけませんね。
相談にくる方の多くが「節税」というキーワードをよく使いますが、しっかり話を聞いてみると本当は節税以上に重要視しなければならないことがある方がほとんどです。
例えば、上記のような決算書を相談の際にもってくる経営者の多くは決算内容が悪く、重要視すべきは資金繰りで節税をする必要がないことがほとんどです。
欠損金がたんまりあるにも関わらず節税商品が入れ込まれ、状況を更に悪化させていたりします。
このような場合、経営者として税理士と一緒に考えることは「節税」ではないはずです。
節税商品の代表選手が保険ですが「企業防衛だ!!」といって従業員に必要以上に保険を売らせて、そのインセンティブを従業員の賞与に還元している税理士事務所もほどです。
税理士も節税商品を入れ込み手数料を稼ぐことよりも自身の顧問先のことを考え、節税商品を取り除き会社を健全な形に戻すことのほうが重要だと思うのですが・・・。