面倒な確定申告も期限までに行わなければ加算税や延滞税が付加されてしまうため、申告期限までに確定申告書を作成し、税務署へ提出する必要があります。ただ、サラリーマンは会社で年末調整を行うため、原則として申告作業を行う必要がありません。そのため、脱サラして自営業者になった方が、はじめて確定申告を行う際は戸惑うことも多いのではないでしょうか。
そこで、以下では、フリーランスの方を想定し、初めて確定申告を行う場合の大まかな流れを解説致します。(書類提出を前提)
確定申告は必要?
個人の自営業者にとっても毎年の確定申告は非常に面倒なものです。書き方もよく分からないし出来ればやりたくないと考えるのではないでしょうか。「確定申告が必要な人」と検索を行ってみると様々なサイトでその判定基準が詳細に記載されていますので、詳細はそちらに譲るとして、以下では誤解を恐れず、ザックリとした判断基準をご紹介します。
(判断基準)
その年の所得(利益)が基礎控除(38万円)やその他の所得控除の合計額を超える場合、つまりは税金が発生する場合に申告を行う必要があります。
ただし、所得が出ない場合でも損失を繰り越すことが出来る場合や税金が還付出来るようなケースもあり申告をする方が有利なこともあります。
青色申告と白色申告
白色申告は帳簿作成義務がない?
事業を開始すると青色申告で行うか白色申告で行うべきかで悩まれる方がいます。その理由を聞いてみると白色申告であれば、帳簿を作成しなくてよいからというのが大半を占めます。確かに平成25年までは白色申告者で所得金額が300万円以下の方は帳簿を作成しなくてもよいとされていました。しかし、平成26年1月1日以後は白色申告者であっても青色申告者と同様にすべての人が一定の帳簿を備え付け、売上や仕入並びに必要経費について記帳を行うことが義務付けられました。そのため、白色申告で確定申告を行うメリットはほぼ無くなったといえます。
青色申告による場合には、その年の3月15日又は開業日から2か月以内に青色申告承認申請書を税務署へ提出する必要があります。うっかり提出期限が過ぎてしまったとはならないように気を付けましょう。
青色申告のメリット
青色申告は白色申告に比べ、様々な特典が設けられています。
以下では青色申告の特典を一部ご紹介します。
- 青色事業専従者給与の必要経費算入
- 青色申告特別控除(65万円控除又は10万円控除)
- 各種減価償却資産の特別控除や割増償却
- 中小企業者の少額減価償却資産の必要経費算入
- 純損失の繰越し
- 純損失の繰戻し還付など
必要資料を集めよう!!
帳簿を作成しよう
自営業者の場合、自分の商売の利益を計算する必要があります。
利益は売上高から仕入高や必要経費を差し引いた残りの金額です。この利益を計算するための基礎として帳簿を作成する必要があります。最近では会計ソフトも安価で購入することが出来ますし、自動仕訳機能が充実してきておりますので簿記の知識がない方でも簡単に帳簿作成を行うことが出来ます。 通常の会計ソフトで入力を行えば、青色申告特別控除(65万円)の要件である複式簿記の要件を満たすことが出来ます。
当事務所では、初心者でも簡単に扱うことが出来る「やよい会計」をお勧めしています。
申告書の添付資料を準備しよう
利益(所得)が計算出来たら、所得から控除できる所得控除に関する資料を集めます。
主な所得控除は以下のとおりです。
- 社会保険料控除(国民年金・国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療保険)
これらの書類は国民年金を除き添付義務はありませんが、金額確認のため必要です。
国民年金については添付義務があります。
- 生命保険料控除、地震保険料控除
保険会社等から毎年10月ごろ控除証明書が送られてきますので、これを申告書に添付します。
- 寄附金控除
最近ではふるさと納税が有名となりました。これも地方公共団体が発行する寄付金控除のための書類を添付する必要があります。
- 配偶者控除や扶養控除
配偶者や扶養親族の所得金額により控除対象となります。しっかり所得金額を把握せず、控除の対象としてしまうと追徴課税及び罰金が課されるため注意が必要です。
国税庁のHPを上手に利用しよう
必要資料がすべて集まったら、あとは申告書類を作成に入ります
国税庁のHPでは、確定申告を作成できるソフトを無料で利用することが出来ます。これがなかなか優れものです。
操作方法について不明点があれば、最寄りの税務署へ連絡すれば、国税局の電話相談センターへつながり入力方法について確認が出来るため安心です。
(国税庁 確定申告書作成コーナー)
事前相談を上手に利用しよう
確定申告時期になると様々なところで無料相談会が行われています。
越谷市であれば、確定申告の作成に関しては毎年、越谷レイクタウンで行っています。
しかし、申告期間になると長蛇の列になり、整理券も配布されるほどの混雑になります。
そのため、初めての確定申告で作業が不安な方は1月初旬に事前相談に行くことをお勧めいたします。特に青色申告特別控除の適用を受けようと思う方は、無料相談会場にいっても帳簿作成からはさすがに対応してもらえないので、教える側もゆとりがある1月上旬に行くことが重要です。
申告書の提出方法
書類が出来上がったら印鑑(三文判でOK)を押していよいよ提出です。
eータックスを利用される場合には事前に電子証明書の交付を受けることが前提となりますが、一度登録を済ませてしまえば、その年以降手続きが楽になるためお勧めです。
書面により郵送で提出する場合には、控えを返送してもらうため、コピーをとったうえで返信用封筒を同封することを忘れないようにしましょう。
税金の納付について
所得税確定申告の申告期限と納期限は原則として3月15日です。
納付の方法はいくつかあります。
①納付書に税額を書き込み、税務署の窓口又は金融機関で納付を行う。
②振替納税
予め申請しておくことにより口座から自動引き落としされます。
「預貯金口座振替依頼書件納付書送付依頼書」を納期限である3月15日までに提出します。
③インターネットバンキング
e-TAXを利用してネットバンキング等により納付することが出来ます。
初めてe-TAXを利用する場合には、開始届出書の提出など事前準備が必要です。
④納付税が1000万円以下の場合には、インターネットを利用してクレジットカードにより納付することが出来ます。(一定の手数料が必要)