インボイス導入まで1年を切り、導入に向けた動きがいよいよ本格化しています。
特に大手と取引をしている中小企業にはインボイスに関する確認書類が続々と届き始めており、その動きは中小企業にも波及しています。
我々、税理士も当然初めて対応することになるため、お客様とインボイス制度について打ち合わせをするたびに色々な発見があります。
今回は、お客様との打ち合わせの中で自分自身「はっと」した体験を対話形式でご紹介します。
インボイスの登録番号は通知すべし!!
打合せ相手:X社 I社長
X社の状況:創業40年。売上2億円 製造業 従来からずっと消費税の課税事業者(原則)
「適格請求書発行事業者の登録申請書」の提出が終わり、2週間~1か月程度で
税務署から登録番号の交付を受けることが出来るかと思います。
インボイスの導入準備のほうはいかがでしょうか?
商品管理と販売ソフトが連動しているので今はソフト会社のほうへ対応を検討してもらっています。うちはもともと課税事業者のため税負担などで影響はありませんが、若干実務を無視した制度になっているようでソフト会社のほうから振込手数料などの細かな点で判断が求められて困っています。
確かに振込手数料はインボイス制度が開始されると地味に面倒な処理が出てきてしまいますね。
この辺りは国も杓子定規にやらずに実務にあった対応をしてもらいたいものですね。
ところで、最近取引先からインボイスに関する問い合わせが増えており、弊社としてもどう対応するか検討しています。
インボイスの保存という意味ですか?
いいえ、売上先や仕入先への番号の通知のことです。
弊社にも続々と確認書が届いているように、弊社でも取引先に対してやったほうが良いのかな?と考えるようになりまして・・・・。
・・・・・・・。
I社長、質問有難うございます。
確かに相手先から求められた場合には登録番号の通知をする義務はありますよね・・・・。
私は仕入税額控除のことばかり頭にあって取引先に対してインボイスが始まる前に通知を出すことの重要性を見落としていました。
インボイス制度が開始される前に売上先に登録番号を事前に通知したり、仕入先や外注先の登録番号について問い合わせをすることは以下のような効果があると考えています。
①売上先に対して事前に通知することは、自社の管理体制がしっかりしていることをアピールすることが出来ます。(実際に通知書等が届いた先に対して私自身そのように感じました。)
②仕入先や外注先に事前にアナウンスすることにより、取引先が周知し、結果として自社の仕入税額控除が出来なくなるというリスクをヘッジすることにも繋がる。
なるほど。支払先についてはどこまで事前アナウンスをするか、金額的に大きいところに絞って事前アナウンスをするということも検討して良いかも知れませんね。
X社さんの場合、特に金額が大きくて問題が生じそうなところが工場兼事務所の賃料です。年間数百万円になりますが、大家さんは個人の方なので、こちらから動いて何らかの対応をとってもらう必要があるかも知れません。
個人事業主の方で今まで消費税の納税義務がなかった方などはインボイス制度は自分には関係ないと考えている人も多いですからね・・・・。
そうですね。
今後は取引先がインボイス制度に明るくない場合にはこちらから積極的に動いて対応してもらうことが重要になってくるかも知れませんね。
打合せで自分の考えを聞いてもらったら、なんだか考えがまとまりました。有難うございます。
早速、大手さんから来ている案内文などを参考に通知文書を考えてみます。
こちらこそ、貴重なご意見を有難うございます。
インボイス制度が導入され、特に個人事業主は大手を中心に一部で取引の見直しを検討する動きが広がると言われています。
そのような場合に売上先に対し事前に登録番号を通知することは自社の管理体制をアピールすることにより取引解除を防止する効果があるかも知れませんね。
私も「登録番号の通知」をI社長のように戦略的に考えるべきだよとお客様に伝えるようにしたいと思います。