令和5年10月1日から始まるインボイス制度。
お客様で登録番号が必要なところは早めに手続きが終わり、私自身の登録番号等の通知も終わっているため、それほど焦ることもなく、10月1日を迎えられそうだと考えていました。
しかし、9月に入り、10月より開業する個人事業主や9月下旬に会社設立をするご相談を立て続けに頂戴し、バタバタと調べものをしている今日この頃です。
そんな相談を受けているうちに、「登録番号」が事業開始に間に合わないケースが今後多くなることに今更ながら気づきました。
そこで今回は、新規で事業を始める場合(個人・法人)のインボイスについて打ち合わせをした内容を会話形式にてご紹介します。
【相談事項】
相談者:Aさん 30代後半。 サービス業
相談内容:令和5年10月開業予定。スタートアップする際、個人事業主とするか、法人設立をするかを悩んでいる。また、10月から開始するインボイス制度についてもよくわからず、どうして良いものか悩んでいる。
今まではサラリーマンだったので、起業にあたりネットで色々調べてはいるもののわからないことが多い状況です。まずは個人事業か法人設立かを悩んでいる次第です。
起業をする際、皆さん悩みますよね。
個人事業主として開業する場合には直ぐにでも始められますが、法人の場合には登記が必要となったり、銀行口座の開設などに時間を要するためハードルは少し高めです。
また、社会保険の手続きや税金に関する申告も複雑ですので運営費用が個人事業よりもかかります。
ただ、個人事業主を敬遠するような取引先もあるため、そのあたりを考えて法人を当初から設立する方も一定数います。
なるほど、商売的には個人事業主がそれほど敬遠されたような話は聞かないため、個人事業主という選択もありですね。
ところで法人にすると税金なんかが安くなると聞いたのですが・・・?
確かに税金の負担が軽減できることが多いのですが、社会保険の負担が重くなることが多いため、これらを合わせて考えるとあまり負担は変わらないことが多いです。
インボイスが導入される前は消費税の免税期間が終わる際に法人成りをされる方が一定数いましたが、インボイスが導入後はインボイスの登録事業者は免税期間が生じないことになります。
そのため、今後は消費税の負担軽減を狙った法人成りは少なくなると思います。
事業資金が多くない場合には資本金もそれほど積めませんので個人事業主から起業して、その後、資金的なゆとりが生じた際に法人成りをするというのも選択肢としてはありですね。
融資も法人だから有利というわけではありませんので。
そうですか・・・・。
事業資金はそれほど多くないため税金などの負担が軽くなり、融資も有利に働くなら法人もありかと考えていましたが・・・・・。
少し自分でも整理をして個人と法人のどちらの企業のほうが現状ではベストか考えてみます。
ところでインボイスの対応はどうすればよいでしょうか?
取引先は大手なため、おそらくインボイスについては対応する必要があると思うのですが・・・。
インボイスについては起業した後に税務署に対して設立届や青色申告承認申請書と合わせて「適格請求書発行事業者の登録申請書」というものを提出します。
「登録番号」の通知は電子か書面かを選択することができますが、電子のほうか交付を受けるまでの時間が短くておススメではあります。
最近は駆け込みで申請する方が多いため、電子だと1か月、書面だと2~3か月と言われています。
なるほど。
それだけ時間がかかると起業してから実際に「登録番号」の交付を受けるまではインボイスが発行が出来ないことになるわけですよね?
そのような場合にはどう対処すれでばよいのでしょうか?
鋭いですね!!
確かに請求書や領収書を発行する際、当初は登録番号が記載されないことになりますので対処する必要があります。
ただ、新に事業を開始する方は以下のような特例があるため、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を事業開始時に提出しておけば、事業開始から適格請求書発行事業者と該当することになります。
【参考】消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問12(一部抜粋)
(新たに設立された法人等の登録時期の特例)
適格請求書等保存方式の開始後、新たに設立した法人が事業開始(設立)と同時に適格請求書発行事業者の登録を受けることはできますか。
新たに設立された法人が、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を、事業を開始した日の属する課税期間の末日までに提出した場合において、税務署長により適格請求書発行事業者登録簿への登載が行われたときは、その課税期間の初日に登録を受けたものとみなされます(新消令 70 の4、新消規 26 の4、インボイス通達2-2)
具体的には以下のような方法があると言われています。
①インボイスの交付が遅れることを取引先に伝え、通知された後にインボイスを交付
②通知をうけるまで登録番号のない請求書等を交付して通知後に改めてインボイスを交付
③通知をうけるまで登録番号のない請求書等を交付してその後に登録番号のみを知らせる。
小売店等では個別に事後対応が難しいためHP等に登録番号を提示等する方法も認められているようです。
これ以外にも法人の場合には、登録番号は法人番号の頭に「T」を付けるだけのため、当初からそれを見込んで記載してしまうこともありではないかと個人的には思います。
なるほど、インボイスの番号については交付されるまで時間がかかると聞いていたので
正直どうしたらよいか気になっていました。
教えて頂いた方法で対処したいと思います。