路線価地域にある土地を評価する際、全面道路に路線価が付されていればよいのですが、稀に路線価が付されていない場合があります。
今回は「路線価が付されていない場合」には、どうすれば良いのか?また、相続税の申告期限までに時間がない場合の対処方法についてもご紹介します。
特定路線価の申請
路線価地域に該当する場合、宅地等の評価は一般的には路線価を基準に評価します。
しかし、路線価はすべての道路に付されているわけではありません。
このような場合、原則として該当する土地等の所在する地域を担当する税務署に特定路線価設定届出書を提出し、「特定路線価」というものを設定してもらいます。
特定路線価設定届出には、道路の幅員、舗装状態、上下水道、道路の種類など記載すべき事項が多くあります。
評価専門官と通知されるまで
特定路線価の設定は評価専門官がいる管轄税務署へ提出する必要があります。
例えば、私の事務所がある越谷の場合、越谷市の管轄税務署である越谷税務署ではなく、評定担当署は春日部税務署の評価専門官が行うこととなっています。
そのため、特定路線価設定届出を提出してもすぐには評価額は確定せず、1~2か月程度時間がかかります。
特定路線価申請が間に合わない場合の最終手段?
本来、相続税の申告期限は相続発生日から10カ月以内となっているため、49日を過ぎてから動けば、通常の相続であれば十分間に合うのですが、何らかの理由により着手するまでに時間がかかってしまい、特定路線価の通知をまっていると相続税の申告期限までに間に合わないケースがあります。
このような場合、固定資産税路線価と相続税路線価を比較して特定路線価を推計する方法も一案です。
例えば、
①評価対象地の固定資産税路線価 110,000円
②評価対象地に最も近い相続税路線価 150,000円
③②に対応する固定資産税路線価 125,000円
推定される特定路線価
①×③÷②=132,000円
→ 130,000円(切下げ)又は135,000円(切上げ) ※路線価10万円以上30万円未満のため5000円単位
ただし、上記は正規の方法ではないため、申告期限後に特定路線価がわかった場合などは修正申告や更正の請求を行う必要が生じることも出てくると思われます。